日本古来からある建て方 木造軸組工法
木造は弱いのか?
昔は家を建てるといえば、木造でしたが、現代では国内外からの多彩な知識・知恵を得て多様な工法・構造ができてきました。その中で、木造のイメージとして、他の構造よりも「水に弱い」「火に弱い」「腐る」などデメリットが注目されることもでてきました。
しかしながら、昔の家ではそのデメリットはあまり聞かない話でした。
何故なら、第一の理由は、そもそも比較するものがなかったからです。
第二は、昔の家は軒も大きく出て、隙間風があるのが当たり前だったからです。「木が水に弱い」という根本的な理由が昔の家では成立しないためです。
第三は、木のことも、木以外の材料(構造)のこともあまり知らないためです。
ぜひしっかり知ってみてから選択していただければと思います。
木造は、木なので火に弱いというイメージがある方もいらっしゃるかと思います。しかし意外なことに、木造は火事に対して弱くはありません。
もちろん、木なので燃えます。
しかし、燃え尽きて無くなってしまうのは、細い木や木屑です。住宅の構造(柱・梁等)部分に使われているような太い木は、燃えることで表面が炭化し、その炭化した部分が断熱層の役割を果たし、芯の部分までの延焼の進行が遅いのです。そのため、強度が落ちにくく、崩壊するまでにはなかなか至りません。
一方で、鉄は一定の温度(550℃)以上になると、急激に強度が低下して変形してしまいます。大きな火災では、1000℃を超えることも多くあります。
木造は、火事の時に崩壊することなく、避難時間や消火活動の時間を十分に得ることができます。
木は水に濡れることに滅法弱いと思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
たしかに、木は水に濡れると、水染みになりますので、いつまでも綺麗に保とうと思うと、多少気を遣う必要はあります。ただ、水染みも除去する手段もいくつかありますので、そこまで神経質にならなくても、木材をふんだんに使用したお家での生活ができます。
さらに、無垢材であれば、物を落としてできた凹みは、繊維がつぶれているだけなので水を含ませることで少し膨らみ、目立ちにくくする程度には戻すことができます。
また、「木は調湿作用がある」というように、湿気を吸収したり排出したりする性質を持っています。一概に木と水との相性が悪いわけではありません。
問題は、水・湿気に濡れ続けて湿気ている状態が続くことです。濡れていると腐朽菌が発生して木を腐らせていきます。腐ることで、構造部分の強度が落ち、建物自体が脆くなっていきます。
よって、木材が一時濡れてしまったとしても、しっかりと乾く状態であれば大きな問題はありません。
だから昔の木造の建物は、隙間風に悩まされていた反面、風通しが良く、木が乾燥した状態が保てたため、木の強度が落ちず、長年建物が遺ってきました。
もちろん、現代で隙間風が通る家を推奨しているわけではありません。だだし、木が乾燥した状態を保てる現代の家を考えることが木造の水に対する不安を解消する方法です。今だと通気工法が主な対策と言えるかと思います。