女性ならではのきめ細やかな技巧、顧客満足度の高さを誇る職人－田村由里香

アート・宙の「自然素材の家づくり」には、熟練された腕の良い職人が欠かせません。私たちの家づくりの特徴のひとつであるエアパス工法を知り尽くし、家を支える土台や骨組みから、目に見える梁や柱など、一つひとつ大工の手仕事により完成していきます。

今回は、全国的にも珍しい女性職人、田村由里香を紹介してまいります。

■大工を志すまで
幼稚園の頃から、その姿が格好良くて“大工”という職業に憧れを抱いていた田村。
周囲の友人たちのように、大学進学することには目もくれず、一刻も早く大工になりたいと、地元・福岡の工務店で見習い修行しながら、大工育成塾に通いました。大工育成塾というのは、2003年から2018年まで国土交通省支援により行われた、技術・技能継承をする大工・職人を育成する国家プロジェクトです。

夢まっしぐらに必死に努力するも、女性が大工として活躍するのは容易ではありませんでした。
それは、腕の問題ではありません。
勤めていた工務店では、「女には危ない」となかなか現場に出してもらうことができなかったのです。
当時はどれほどもどかしく、悔しい思いをしていたことでしょう……

それでも田村には、幼いころからの夢、大工の道しかなかったのです。

■アート・宙との出会い
やりたいことが思うようにやらせてもらえず、やきもきした毎日でした。
それはまるで導かれるように、田村はインターネットで、我々アート・宙を見つけました。

ハウスメーカーのような家ではなく、木をふんだんに使い、家やその家具を、大工職人が手間ひまかけて、こだわりを持ってつくっている…そんな私たちの家づくりに魅力を感じ、当時職人の求人募集は行っていませんでしたが、田村はホームページの資料請求から私たちにコンタクトしてきました。

彼女の行動力と、福岡から三重に来てまで一生懸命大工として働きたいという並々ならぬ熱意に、こちらも突き動かされ、採用に至りました。

想いを形にできる場所を求めた田村と、想いを持って仕事をしてくれる人材を求めたアート・宙が、必然的にマッチングしたような出会いとなりました。

■大工という仕事のやりがい
大工は本来、図面に基づき、それを忠実に組み立て再現していくような仕事です。
家の図面は、オーナー様の希望に沿って、営業や設計が綿密に打ち合わせをし作成、さらに現場監督を経て、大工へと渡ります。さまざまな部署や役割を介し、練られ、工夫を凝らし、作り上げられた図面。
ただ、田村には現場の職人だからこそ持ち合わせる敏感なアンテナのようなものがあり、「こうしたらもっとお客様は住みやすく、使いやすいのでは？」という気づきを提案してくれます。
それを聞いたオーナー様が「確かに！」と納得してくださったとき、田村も職人としてのやりがいを感じるといいます。